少年サッカーの遠征配車をラクにする方法|車出しより面倒な「調整」を減らす 少年サッカーの遠征配車をラクにする方法|なぜ毎回、配車担当だけが修行になるのか

目次
- •配車表を作っている時間より、その前後のほうが長い
- •「車を出せない家庭」より、返事が最後まで決まらない家庭のほうが組みにくい
- •「出欠確認」と「車出し確認」を別々にすると、同じ家庭を二度追いかけることになる
- •回答期限は「お願い」ではなく、配車を組み始める境界線にする
- •配車表が完成したあとに全家庭の希望を聞くと、それは「完成」ではない
- •「いつも車を出す人」が固定されるのは、善意だけが理由ではない
- •遠征ごとにゼロから配車を考えるから、毎回同じ疲れ方をする
- •一人の担当者だけが全情報を持っている状態は、便利そうでかなり危ない
- •配車担当を二人にしても、仕事を半分にしなければ意味がない
- •配車で本当に減らしたいのは、車の台数ではなく「人に聞かなければ分からないこと」だ
- •配車担当が一番長くやっている仕事は「車を決めること」ではない
- •「車を出せません」は困らない。「まだ分かりません」がいちばん困る
- •「あと一人だから待とう」が、だいたい一番長い
- •出欠と車出しを二回に分けると、催促も二回やることになる
- •締切があるのに、締切後も普通に受け付ける謎
- •配車表を出したあとに希望を聞くと、そこから「第2回配車会議」が始まる
- •いつも車を出す家庭は「好きでやっている人」に分類されがち
- •配車回数を完全平等にすると、今度は「一回」の定義で揉め始める
- •「配車が得意な人に任せよう」は、その人を辞められなくする呪文でもある
- •二人体制にしたのに一人しか働いていない、というスポ少あるある
- •前日の夜に配車が崩れる原因は、だいたい前日には生まれていない
- •遠征配車をラクにするなら、「人に聞かないと分からないこと」を減らす
金曜日の夜、翌日の遠征に向けた配車表がようやく完成する。
ところが、そのあとに「すみません、明日は現地集合に変更します」「帰りだけ乗せてもらえますか」「兄弟も一緒に乗せても大丈夫でしょうか」と連絡が入る。空いた席を詰め直し、別の車へ子どもを移し、変更した配車表をもう一度流す。
そこへ、まだ出欠を回答していなかった家庭から「明日参加します」と連絡が来る。
少年サッカーの遠征配車がしんどいのは、車を運転するからではない。こういう小さな変更を、一人の保護者が最後まで吸収しているからだ。
配車をラクにしたいなら、配車表の作り方を工夫するだけでは足りない。むしろ先に減らすべきなのは、配車表を作るまでと、作った後に発生する「調整」である。
配車表を作っている時間より、その前後のほうが長い
遠征の配車担当になったことがなければ、仕事は「誰をどの車に乗せるか決めること」に見える。しかし実際には、その前に出欠を確認し、車を出せる家庭を確認し、何人乗れるかを聞き、現地集合の家庭を外し、兄弟の同乗なども整理しなければならない。
さらに面倒なのが、返事がそろわない状態で締切だけが近づくことだ。「車出し可能な方は回答お願いします」とLINEを流しても、すぐ全員から返ってくるとは限らない。既読は付く。何人かは答える。それでも最後の数家庭が動かない。
担当者はここで迷う。「もう一度全体LINEを送るか」「個別に聞くか」「この家庭は不参加として組んでしまうか」。つまり、配車担当が一番使っているのはExcelや表を作る技術ではなく、他の保護者の返事を待ちながら空気を読む時間である。
これを毎週やっていたら疲れる。当たり前だ。
「車を出せない家庭」より、返事が最後まで決まらない家庭のほうが組みにくい
車を出せないこと自体は、それほど困らない。「今回は車出し不可」と期限内に分かれば、その前提で組めるからだ。仕事、下の子の予定、車の都合、運転への不安。理由は家庭ごとに違うし、そこを無理に揃える必要もない。
厄介なのは、「まだ分かりません」「たぶん行けます」「あとで返事します」の状態が長く続くことだ。
配車は席数の計算なので、一家庭の回答が未確定だと、その家庭だけで終わらない。その子を誰の車に乗せるのか、車が一台増えるのか、別の車の乗車人数を減らせるのかまで変わる。
ところが未回答の本人から見ると、「まだ一件返信していない」だけである。担当者側では全体が止まっている。この認識の差が大きい。
だから遠征配車をラクにする最初の一手は、「もっと車を出してもらうこと」ではない。回答を早く確定できる状態を作ることである。
「出欠確認」と「車出し確認」を別々にすると、同じ家庭を二度追いかけることになる
遠征の案内を出し、まず出欠を確認する。その数日後に、参加者だけへ「車を出せる方はお願いします」と連絡する。
一見きれいな流れだが、担当者からすると確認作業が二周する。
出欠を返していない家庭へ一度催促し、その後、車出しを回答していない家庭へまた催促する。さらに「行きだけ出せます」「帰りは無理です」「現地には家族で行きます」と条件が後から加わる。
可能なら、遠征への参加回答と一緒に、車出しの可否まで一度で聞いたほうがいい。
聞く内容も曖昧にしない。
参加するか。車を出せるか。乗せられる子どもの人数は何人か。往復可能か、片道だけか。現地集合か。
最初からこれだけ分かれば、担当者が後から個別LINEで穴を埋める回数はかなり減る。
「その都度聞けばいい」と思うかもしれないが、その都度聞いている人は毎回同じである。そこを仕事として数えないから、配車担当だけがいつの間にか疲れていく。
回答期限は「お願い」ではなく、配車を組み始める境界線にする
「○日までに回答をお願いします」と書いていても、締切後の扱いが決まっていなければ、実際には締切ではない。
期限を過ぎても担当者が個別LINEを送り、返事が来るまで待ち、最後には何とか配車へ入れてくれる。それが続けば、回答が遅い側から見れば急ぐ理由がなくなる。
担当者は親切のつもりで穴を埋めている。しかし、その親切が翌月の催促作業を作っていることがある。
現実的なのは、「期限を過ぎたら絶対に参加できない」と極端にすることではない。期限内回答を基準に一度配車を確定し、その後の回答は空席の範囲で対応する、と線を引くことだ。
急な家庭事情や体調不良は別でいい。問題なのは例外があることではなく、通常の回答遅れまで担当者が毎回救済する状態である。
締切とは、保護者を罰するためのものではない。「ここから先は担当者が作業を始める」という境界線だと考えたほうが分かりやすい。
配車表が完成したあとに全家庭の希望を聞くと、それは「完成」ではない
遠征配車では、完成した配車表を流した後に調整が始まることがある。
「○○君と同じ車がいい」「この車だと帰宅時間が困る」「できれば別の組み合わせにしてほしい」。
事情がある希望もある。当然、安全面や家庭の送迎事情で変更しなければならないこともある。
ただ、すべての希望を担当者が受けて組み直していたら、配車表は完成表ではなく、保護者に見せる第一案になってしまう。
ここは意外と大事だ。
希望を事前に申告する期限を決め、配車確定後の変更は、欠席、安全上の事情、家庭側で対応できない急な事情などに絞る。それ以外の「できれば」は、毎回かなえようとしない。
配車担当がサービス業のようになると、「お願いすれば変えてもらえる」という空気ができる。担当者だけは断るたびに気を使うし、変更を受ければまた作業が増える。
全員に満足してもらうことと、遠征を問題なく成立させることは別物である。
「いつも車を出す人」が固定されるのは、善意だけが理由ではない
車出しをお願いすると、比較的早く「出せます」と答える家庭がある。一方で、締切ぎりぎりまで様子を見る家庭もある。
前者が何度も続けば、「今回もお願いしていいかな」と声をかけやすくなる。断らない人へ頼むほうが早いからだ。
すると、協力的だった家庭ほど依頼が増える。
本人も最初はそれほど気にしていないかもしれない。子どものためだし、どうせ自分も会場へ行く。それでも、ある時から「あれ、またうち?」という感覚が出てくる。
特に腹が立つのは、一回の運転そのものより、同じ家庭が毎回早く回答し、集合場所へ早めに着き、他の子を乗せ、直前変更にも付き合っているのに、それが「いつものこと」として処理され始めたときだ。
だから配車回数を完全に均等にする必要はなくても、誰が続けて車を出しているかは見えるようにしておいたほうがいい。
「お願いしやすい人にお願いする」は短期的にはラクだ。しかし、そのラクを誰が負担しているのかは消えない。
遠征ごとにゼロから配車を考えるから、毎回同じ疲れ方をする
毎回、担当者が頭の中だけで配車を組むと、遠征があるたびに最初から考え直すことになる。
誰の車が大きいか。誰が遠方の運転に慣れているか。現地集合が多い家庭はどこか。兄弟同伴になりやすい家庭はあるか。帰りだけ別行動になることがあるか。
もちろん毎回条件は変わる。それでも、基本情報まで毎回LINEで聞き直す必要はない。
車出し可能な家庭、通常乗せられる人数、遠征時に伝えておくべき条件など、変わりにくい情報は一度整理しておく。遠征のたびに確認するのは、その日の参加可否と今回の車出し可否を中心にする。
ここを分けるだけでも担当者の頭の中は軽くなる。
配車をラクにするというと、自動で組み合わせる仕組みばかり考えがちだが、その前に「毎回聞かなくていいことを毎回聞いていないか」を見たほうがいい。
一人の担当者だけが全情報を持っている状態は、便利そうでかなり危ない
「配車は○○さんが詳しいから任せよう」。
これは一見合理的である。
実際、慣れた人が作ったほうが早い。子どもの名前も家庭事情も車の大きさも知っている。急な変更にも対応できる。
問題は、その人しか分からなくなることだ。
出欠の最終回答は個別LINE。ある家庭からの「帰りは迎えに行く」は担当者の記憶の中。車の座席数も本人だけが把握している。配車表だけを見ても、なぜその組み合わせになったのか他の人には分からない。
すると担当者が体調を崩しただけで、急に誰も組めなくなる。
さらに、その人が辞めたいと言ったとき、「来年もお願いできない?」となる。詳しいから任せていたはずが、詳しくなりすぎたせいで辞められない。
スポ少では、この手の「できる人への依存」が起きやすい。仕事を任せること自体が悪いわけではない。担当者しか知らない情報を増やさないことのほうが大事である。
配車担当を二人にしても、仕事を半分にしなければ意味がない
負担を減らそうとして「今年から配車担当を二人体制にしよう」と決めても、一人が表を作り、もう一人は名前だけということがある。
これでは人数を増やしただけだ。
分けるなら、役割そのものを分ける。たとえば一人が回答状況を確認し、もう一人が配車を組む。遠征ごとに主担当を交代する。確定前だけ二人で確認する。
重要なのは、誰かが休んでも他の人が途中から引き継げることだ。
「二人体制だから安心」ではなく、「片方がいなくても進むか」で考えると、形だけの複数担当を避けやすい。
配車で本当に減らしたいのは、車の台数ではなく「人に聞かなければ分からないこと」だ
少年サッカーの遠征配車をラクにしようとすると、「効率よく車を割り振る方法」を探したくなる。
でも、現場で担当者を疲れさせるのは、席を割り振る計算より、その前後にある。
この子は参加なのか。あの家庭は車を出せるのか。何人乗れるのか。返信はまだなのか。配車表を変えてほしい理由は何なのか。変更後の情報を誰に伝えたのか。
毎回誰かに聞かなければ分からない情報が多いほど、配車担当は連絡係になり、催促係になり、最後には苦情受付まで兼ねることになる。
逆に、回答する場所が決まり、期限が決まり、確定後の変更条件が決まり、誰でも現在の状態を確認できれば、配車そのものはそれほど複雑な仕事ではなくなる。
次の遠征で配車表を作るとき、誰の車に誰を乗せるかを考える前に、一度だけ見てほしい。
担当者が今、誰かに個別LINEを送らなければ前へ進めない作業はいくつあるのか。
遠征配車をラクにするなら、まずそこを一つずつ消したほうがいい。
面白い笑える冗談が一つも入っていないからふんだんに入れて。
金曜日の21時47分。
翌日の遠征配車が、ようやく完成した。
参加者を確認し、車を出せる家庭を拾い、乗車人数を数え、現地集合を外し、なんとか全員が車に収まった。担当者の頭の中では小さなファンファーレが鳴っている。「終わった。今週も生き延びた」と。
そして21時52分。
LINEが鳴る。
「すみません、明日やっぱり現地集合にします!」
早い。
完成から崩壊まで5分である。
さらに、「帰りだけ乗せてもらえますか?」「兄も一緒なんですが大丈夫ですか?」「今からでも参加できますか?」が続く。配車表という名前は付いているものの、実態は完成した瞬間から改訂版の作成が始まる謎の文書だ。
少年サッカーの遠征配車をラクにしたいなら、誰をどの車に乗せるかより先に考えたほうがいい。
なぜ配車担当だけが、毎週LINE上で交通整理、人数調整、家庭事情のヒアリング、クレーム対応まで一人四役でやっているのか、という話である。
配車担当が一番長くやっている仕事は「車を決めること」ではない
遠征の配車担当をやったことがないと、「子どもを車に振り分けるだけでしょう」と見える。テトリスみたいなものだと思われている節もある。
実際は違う。
まず参加する子を確定する。次に車を出せる家庭を確認する。何人乗せられるかを聞く。チャイルドシートや兄弟同伴、現地集合、途中離脱、帰りだけ迎えといった条件を整理する。その間にもLINEでは別件の連絡が流れてくる。
そして最大の敵が「未回答」である。
「土曜日の遠征について、出欠と車出し可否の回答をお願いします」
送信。
既読3。
既読8。
既読14。
返事5。
ここからである。
既読数だけは順調に育つのに、回答数が育たない。家庭菜園なら完全に失敗している。
担当者は「もう少し待つか」と考える。30分後に見る。変わらない。1時間後に見る。変わらない。風呂から出て見る。変わらない。
スマホを見る回数だけなら、恋愛初期の高校生といい勝負である。
「車を出せません」は困らない。「まだ分かりません」がいちばん困る
配車担当からすると、「今回は車を出せません」という回答は別に悪くない。
むしろ助かる。
出せないと分かれば、その条件で組めるからだ。仕事がある、下の子の予定がある、車が使えない、長距離運転が苦手。事情は家庭ごとに違う。それはそれでいい。
困るのは、
「たぶん行けます」
「車はまだ分かりません」
「主人に聞いてみます」
「明日までには分かると思います」
である。
「主人に聞いてみます」が来た瞬間、配車担当は心の中で「ぜひ今日中に聞いてくれ」と思っている。
もちろん口には出さない。
「承知しました😊」
である。
保護者LINEでは、この「😊」の裏側にかなりの感情が収納されている。
一家庭が未確定だと、その家庭だけの問題では済まない。その子を誰の車に乗せるか、車をもう一台出してもらうか、別の家庭に何人乗せるかまで変わる。
未回答側から見れば「まだ返信していない一件」だが、担当者から見ると「全配車が確定しない一件」である。
この差はかなり大きい。
「あと一人だから待とう」が、だいたい一番長い
全15家庭のうち14家庭が回答済み。
ここまで来ると、人間は待ってしまう。
「あと一人だし、すぐ返ってくるだろう」
来ない。
夕方になっても来ない。
夜になっても来ない。
担当者は一度配車を組み始めるが、「もし参加だったら全部変わるな」と止める。しばらくすると、「もう欠席として組んでいいのでは」と思う。しかし勝手に欠席扱いして、翌朝「参加のつもりでした」と言われる未来も見える。
完全に詰みである。
結局、個別LINEを送る。
「明日の遠征ですが、ご参加でよろしいでしょうか?」
すると10分後、
「あ、すみません!参加します!」
来た。
返せたんかい。
担当者の心の声だけは、過去最高速度で既読になっている。
少年サッカーの遠征配車をラクにするなら、ここを変えない限り始まらない。配車表のフォーマットをどれだけきれいにしても、最後の一人を毎回人力で追いかけていたら、担当者の仕事は減らない。
出欠と車出しを二回に分けると、催促も二回やることになる
遠征案内を出して、まず出欠を取る。
数日後、参加者に対して「車を出せる方はお願いします」と聞く。
非常に丁寧である。
そして非常に面倒である。
一周目で出欠未回答者を追い、二周目で車出し未回答者を追う。同じ家庭へ二度連絡することもある。
担当者からすると、スタンプカードでもあれば一回押してほしいくらいである。「催促10回でコーヒー無料」くらいないと割に合わない。
可能なら、最初の回答で必要な情報をまとめて取ったほうがいい。
参加するか。
車を出せるか。
子どもを何人乗せられるか。
往復可能か。
片道だけか。
現地集合か。
これを一度で確認しておけば、「そういえば車は出せますか?」という第二ラウンドが減る。
遠征配車では、配車表を作る時間より、情報を集める時間のほうが面倒になりやすい。だから効率化する場所を間違えないほうがいい。
Excelの色をきれいにする前に、質問回数を減らしたほうがよほど効く。
締切があるのに、締切後も普通に受け付ける謎
「水曜日20時までに回答をお願いします」
スポ少ではよく見る。
水曜日20時01分。
何も起きない。
木曜日。
まだ受け付ける。
金曜日。
担当者が個別に催促する。
これでは締切ではない。
ただの希望時刻である。
美容院の予約時間でも、もう少し厳しい。
なぜこうなるかというと、担当者が優しいからだ。「子どもが参加できなくなったらかわいそう」「忙しかったのかもしれない」と考え、毎回救済する。
それ自体は悪いことではない。
ただ、その優しさが続くと、「期限を過ぎても誰かが聞いてくれる」という運用が完成する。
すると、締切を守る人だけが真面目に答え、守らない人も最終的には参加できる。
締切を守るメリットがほぼない。
これは交通ルールで言えば、「赤信号ですが、急いでいる方は自己判断でどうぞ」に近い。
現実的には、期限内の回答で一度配車を確定し、期限後の参加は空席があれば対応するくらいがいい。急病や家庭事情は例外でいい。
重要なのは、締切を破った家庭を罰することではない。
担当者の作業開始時刻を守ることである。
配車表を出したあとに希望を聞くと、そこから「第2回配車会議」が始まる
配車表が完成する。
グループLINEへ送る。
普通ならここで終わりである。
しかしスポ少では、ここから感想戦が始まることがある。
「できれば○○さんの車がいいです」
「帰りだけ違う車にできますか?」
「弟も連れていくので、別の車のほうが助かります」
「○○君と一緒だと騒ぐので分けてもらえますか?」
最後のあたりまで行くと、もはや配車担当ではなく学級担任である。
もちろん、本当に必要な変更はある。安全上の理由もあるし、家庭の事情もある。
ただし、「できれば」という希望まで全部拾うと、配車担当の仕事は終わらない。
一人を動かす。
空いた席を埋める。
別の車の人数を変える。
兄弟同伴の条件が変わる。
完成表を作り直す。
再送する。
すると、最初の表しか見ていない家庭が出る。
翌朝、集合場所で、
「あれ?うち○○さんの車じゃなかったでしたっけ?」
となる。
担当者の魂が少しずつ抜けていく。
確定前に希望を聞き、確定後は必要な変更だけにする。これだけでもかなり違う。
全家庭の「できれば」をかなえることは、配車担当の仕事ではない。
旅行会社でもそこまでしない。
いつも車を出す家庭は「好きでやっている人」に分類されがち
車出しを募集すると、毎回わりと早く「出せます」と答える家庭がある。
ありがたい。
非常にありがたい。
そして、人間はありがたい人にまた頼む。
「○○さんならお願いしやすいから」
これが続くと、その家庭はいつの間にか「車を出す家庭」という役割になる。
本人も最初は気にしない。
どうせ試合を見るし、乗せていけばいい。
しかし何度か続くと、ある瞬間に気づく。
「あれ、うちって今月ずっと車出してない?」
ここからモヤモヤが始まる。
さらに集合場所で、車出しをしていない家庭が普通に「おはようございまーす」と子どもを預けて帰っていく。
もちろん事情があるのかもしれない。
でも、三週連続で運転している側の脳内では、一瞬だけ別人格が登場する。
「……おはようございまーす、じゃないのよ」
口には出さない。
大人なので。
笑顔で「いってらっしゃい😊」である。
またこの「😊」である。
スポ少の運営は、この絵文字の耐久性に頼りすぎている。
配車回数を完全平等にすると、今度は「一回」の定義で揉め始める
では全家庭の車出し回数を同じにすればいいのか。
これも簡単ではない。
近所のグラウンドまで15分の送迎と、高速道路を使って片道90分の遠征は同じ「一回」なのか。
子ども一人を乗せるのと、他の子を五人乗せるのは同じなのか。
行きだけと往復は同じなのか。
ガソリン代、高速代、駐車料金まで入れ始めたら、配車担当の仕事が突然、経理部になる。
「今月○○家が2.3配車ポイントなので……」
少年サッカーチームにSAPを導入する日も近い。
そこまでしなくていい。
完全な平等より、「同じ家庭だけがずっと出している状態を放置しない」くらいの管理で十分なことが多い。
少なくとも過去数回の車出し状況が見えれば、「今回もいつもの人にお願いしよう」を避けやすくなる。
公平を完璧にしようとすると、今度は公平を管理する人が倒れる。
スポ少では、このオチが本当に多い。
「配車が得意な人に任せよう」は、その人を辞められなくする呪文でもある
配車を何度かやると、詳しい人が出てくる。
誰の車が何人乗りか知っている。
どの家庭が現地集合しやすいか知っている。
兄弟の予定まで何となく知っている。
「あの家は帰りだけお父さんが迎えに来ることが多い」
他人の家庭事情に異常に詳しくなる。
もはや親戚である。
すると周囲は言う。
「○○さん、配車慣れてるからお願いしていい?」
最初は褒め言葉に聞こえる。
数か月後には呪文だったと分かる。
担当者の頭の中に情報が増えるほど、別の人が引き継げなくなる。「○○さんしか分からないから」とまた頼まれる。
本人が「来年度は外れたい」と言うと、
「えー、困る!」
と言われる。
一番困っているのは本人である。
詳しい人がいることは悪くない。ただし、情報までその人だけに集めない。車の基本情報、回答状況、確定した配車は他の担当者も見られるようにする。
「任せる」と「丸投げ」は、文字数は違うが現場ではかなり近い。
二人体制にしたのに一人しか働いていない、というスポ少あるある
負担軽減のため、「今年から配車担当を二人体制にします」という案が出る。
聞こえはいい。
実際に始まる。
Aさんが出欠を集める。
Aさんが車出しを集める。
Aさんが配車を組む。
AさんがLINEへ送る。
Bさんが「確認しました!」と返信する。
二人体制とは。
Bさんは監査法人なのか。
人数を二人にしただけでは仕事は半分にならない。
分けるなら作業そのものを分ける必要がある。回答確認は一人、配車作成は一人。あるいは遠征ごとに主担当を交代する。確定前だけ二人でチェックする。
重要なのは担当者が二人いることではなく、「一人がいなくても止まらないこと」である。
名簿に二人書いてあるだけでは、負担は1ミリも減らない。
前日の夜に配車が崩れる原因は、だいたい前日には生まれていない
金曜日の夜に変更が殺到すると、「直前変更が多いから大変だ」と思う。
もちろんそれもある。
ただ、その前を見ると、水曜日の未回答を待ち、木曜日に個別確認し、金曜日にようやく参加者が確定していることがある。
最初から遅れている。
そこへ一件変更が入れば、一気に前日作業になる。
消防隊が忙しいのは火事が多いからだが、配車担当が忙しいのは、全員が少しずつ後回しにした仕事が最後に一人へ集まるからである。
しかも集まる先はだいたい同じ人。
非常に効率的な負担集中システムになっている。
遠征前夜をラクにしたいなら、前夜の作業を高速化するより、水曜や木曜の未確定事項を減らしたほうがいい。
「金曜日に頑張る」は対策ではない。
それは気合いである。
遠征配車をラクにするなら、「人に聞かないと分からないこと」を減らす
結局、少年サッカーの遠征配車で一番面倒なのは、車を割り振る計算ではない。
○○君は参加するのか。
○○家は車を出せるのか。
何人乗れるのか。
行きだけなのか。
帰りは誰が乗せるのか。
変更は誰に伝えたのか。
配車担当が一つひとつ人に聞いて初めて分かる情報が多いほど、LINEは増え、催促も増え、変更も増える。
だから、参加と車出しを一度に答える。回答期限後の扱いを決める。希望は確定前に出す。配車確定後の変更条件を絞る。過去の車出し状況を見えるようにする。担当者以外も情報を確認できるようにする。
これだけでも、「配車を組む人」が「全保護者を追い回す人」になるのを避けやすい。
次の遠征で、担当者がまたLINEを開いて「まだ○○さん返事ないな」とつぶやいていたら、その人に「頑張って」と言う前に見たほうがいい。
なぜ、その人が個別に聞かないと先へ進めない仕組みになっているのか。
だいたい問題は、その未返信のLINEより少し手前にある。
そして本当に配車をラクにしたいなら、「担当者をもっと頑張らせる」だけはやめたほうがいい。
もう十分頑張っている。
たぶん今も、既読14の画面を見ている。
あなたのチームではどうですか?
スポ少・少年団・クラブチームで実際にあった出来事や、保護者として感じていることを匿名で教えてください。ClubCoreブログの記事づくりの参考にさせていただく場合があります。
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