ミニバスの配車表の作り方|「誰をどの車に乗せるか」より先に決めること

目次
- •配車表は「全員の名前が入ったら完成」ではありません
- •最初のLINEで「車出しできる方いますか?」と聞くと、あとで自分が苦しみます
- •私は「子どもを車に割り振る」のを最後にします
- •「あと1人乗れます」は、本当にあと1人乗れるのか
- •そのまま使うなら、配車表はこのくらいで十分です
- •ミニバスでは「行き」より「帰り」の配車が壊れやすい
- •配車表を作ると、人間関係まで見えてしまうことがあります
- •配車表を送った後の「すみません、変更お願いします」が一番重い
- •「配車表最新版」「最新版2」「最終版」ができ始めたら危険です
- •完成したら、「人数」ではなく一人ずつ消していく
- •「今回も山田さんに頼もう」と思った瞬間、一度止まる
- •配車表の作り方を簡単にすると、実はこの順番です
- •1.参加者を確定する
- •2.車出し可能な家庭から「選手を何人乗せられるか」を集める
- •3.往路と復路の例外を先に拾う
- •4.必要座席数と実働座席数を比較する
- •5.選手を各車へ割り振る
- •6.正式版を一か所に置く
- •7.往路・復路それぞれで全選手を一人ずつ確認する
- •8.担当者がいなくても出発できるかを見る
- •ClubCoreを作った理由の一つも、この「担当者の頭の中」問題です
- •最後に。いい配車表は、担当者が褒められる配車表ではありません
配車表は「全員の名前が入ったら完成」ではありません
金曜日の22時14分。
翌朝は7時15分集合。
ようやく配車表が完成して、LINEに流そうとしたところで一件届きます。
「すみません。主人が急に仕事になって、明日は車を出せなくなりました」
仕方のないことです。
ただ、その車には選手を4人乗せる予定でした。
配車表を開き直します。
A車には1席空きがある。B車にも1席ありそう。でもB車は下の子も一緒に乗ると聞いていた気がする。
「B車って、明日弟くんも乗りますよね?」
確認のLINEを送る。
返信を待っている間に、今度は別の家庭から、
「うちは帰りだけ直接帰ります」
と来る。
こうなると、行きと帰りを別々に組み直さなければなりません。
配車担当をやっていると、こういうことが起こります。
だから最初に言っておきます。
ミニバスの配車表で一番怖いのは、車が一台足りないことではありません。
配車担当者の頭の中にしかない情報で、配車が成立していることです。
「山田さんは7人乗りだけど、妹ちゃんがいるから選手は4人まで」
「佐藤君は行きだけ乗車で、帰りはお父さんが迎え」
「田中さんは車を出せるけど、今回は現地集合」
「この車にはチームの荷物も積んでもらう」
こんな条件を担当者だけが覚えている。
これが一番危ない。
私なら、配車表が完成したかどうかを「全員の名前が入ったか」では判断しません。
配車担当者が当日の朝に来られなくなっても、ほかの保護者だけで出発できるか。
ここを完成基準にします。
最初のLINEで「車出しできる方いますか?」と聞くと、あとで自分が苦しみます
配車を初めて担当すると、ついやってしまう聞き方があります。
「○日の試合、車出しできる方お願いします!」
すると、
「出せます」
「大丈夫です」
「うちも出せます」
と返ってくる。
一見、順調です。
でも、この回答だけでは配車表は作れません。
知りたいのは車を出せるかどうかではなく、選手を何人乗せられるかだからです。
7人乗りの車だから、運転手以外に6人乗れる。
そう計算してはいけません。
助手席に保護者が乗るかもしれない。下の子も来るかもしれない。荷物を積むかもしれない。
だから車種や定員からこちらで計算するのではなく、
「選手を何人乗せられますか?」
と本人に答えてもらいます。
ここは配車表を作るうえで、かなり大事です。
私なら参加確認と一緒に、少なくとも「参加・欠席」「車出しの可否」「乗せられる選手数」「往復可能か」「現地集合・現地解散」「兄弟などの同伴」「途中で別行動になる予定」を確認します。
これを最初に取っておかないと、配車表を作り始めてから一軒ずつ聞くことになります。
配車表作りが大変なのではありません。
情報を後から拾い集める作業が大変なのです。
私は「子どもを車に割り振る」のを最後にします
参加者が分かったら、すぐ、
山田車:A君、B君、C君
佐藤車:D君、E君、F君
と入れたくなります。
でも、私は逆です。
最初に「使える座席」を数えます。
たとえば参加する選手が15人だとします。
車出し可能な家庭から回答された「選手を乗せられる人数」が、
山田車 4人
佐藤車 3人
田中車 5人
鈴木車 2人
だったとします。
合計14席。
この時点で、配車表は作りません。
1席足りない。
まずこの問題を解決します。
ここで大事なのは、
「あと一人だけ山田さんの車に乗せてもらえませんか?」
と、いきなり個人に頼まないことです。
全体として「あと1席不足している」と分かってから追加の車出しを募る。
なぜか。
最初から個別に頼む方式にすると、最終的にいつも「頼みやすい家庭」へ話が行くからです。
返事が早い。大きい車を持っている。断らない。多少の変更にも対応してくれる。
そういう家庭です。
誰も「この家に負担を集中させよう」とは思っていません。
でも、人は困ったとき、断らない人に頼みます。
だから偏ります。
配車表は、人間関係で調整する前に数字で不足を出す。
これだけでも、特定の家庭への負担集中をかなり防ぎやすくなります。
「あと1人乗れます」は、本当にあと1人乗れるのか
ここは表だけ見ていると気づきにくいところです。
座席としてはあと一人乗れる。
でも、その一人を本当に乗せるかは別です。
遠征の日を想像してください。
バスケットボール。
バッシュ。
リュック。
着替え。
冬ならベンチコートや上着。
チームのボールバッグや救急用品を積む車もあります。
数字上は選手5人を乗せられても、5人分の荷物まで入れたらかなり窮屈になることがあります。
しかも帰りです。
汗をかいた子どもたちが荷物を抱えて乗ってくる。
「座席がある」と「無理なく乗せられる」は同じではありません。
ですから、配車担当者が車種を見て勝手に最大人数まで詰めるのではなく、運転する家庭に「選手を何人まで乗せられるか」を申告してもらうほうが安全です。
さらに余裕があるなら、全車を限界まで埋めない。
1席の余裕があるだけで、当日の急な変更を吸収できる場合があります。
配車表の空席は「無駄」ではありません。
変更に対応するための余白でもあります。
そのまま使うなら、配車表はこのくらいで十分です
配車表はデザイン大会ではありません。
私なら、最低限この形にします。
車 運転する保護者 乗車する選手 往路 復路 備考
A車 山田さん 佐藤・鈴木・高橋 ○ ○ 弟同伴
B車 田中さん 伊藤・渡辺・加藤 ○ ○ 伊藤は復路のみ別
C車 佐々木さん 小林・吉田・山本・中村 ○ ○ チーム荷物あり
現地集合 ― 松本 ― ― 保護者送迎
さらに表の上に、
○月○日 ○○大会
集合:7:15 ○○小学校正門前
出発:7:25
会場:○○市体育館
と書いておけば、かなり分かりやすくなります。
この表で私が一番気にするのは、実は「備考」です。
初めて配車表を作る人は、選手名と車ばかり見ます。
でも、当日問題になるのは、
「帰りだけ違う」
「弟も乗る」
「チーム荷物がある」
「現地集合」
といった例外です。
普通の人をどう乗せるかより、普通ではない動きをする人を見落とさない。
配車表を作るときは、この感覚を持っておくとかなり違います。
ミニバスでは「行き」より「帰り」の配車が壊れやすい
朝は簡単です。
7時15分集合なら、基本的に全員が7時15分に集まります。
問題は帰りです。
「午後から予定があるので、うちは先に帰ります」
「祖父母が体育館まで迎えに来ます」
「兄の試合へ移動するので現地解散です」
「勝ったら最後までいますが、負けたら帰ります」
特にトーナメント戦は終了時間が読めません。
だから私は、往路と復路を頭の中で同じものとして扱わないほうがいいと思っています。
たとえば、
行き:山田車
帰り:保護者迎え
なら、それが表を見ただけで分かるようにする。
これを備考だけに小さく書いて終わらせると、試合後に、
「○○君は?」
が始まります。
本人は、
「今日、お母さん迎えに来るよ」
と言う。
運転予定だった保護者は聞いていない。
配車担当は別の場所にいる。
保護者が体育館の入口でLINEを検索する。
子どもたちは荷物を持ったまま待つ。
こういう10分が、配車ではものすごくもったいない。
帰りが違う選手については、表の中でも目につく形にしておいたほうがいいです。
配車表を作ると、人間関係まで見えてしまうことがあります
ここからは、Excelの使い方には出てこない話です。
「できれば○○君と同じ車にしてください」
「兄弟は同じ車でお願いします」
ここまでは分かります。
でも、ときどき、
「できれば別の車にしてもらえますか」
という話も出ます。
理由が明確に説明されるとは限りません。
子ども同士の相性の場合もあるし、保護者同士の事情の場合もある。
運転への不安など、安全に関係する話なら確認が必要です。
一方で、
「仲のいい子と乗りたい」
という希望まで全部聞いていると、配車担当者は席替え係になります。
さらに厄介なのは、子どもの実力や親のチーム内での立場が、無意識に影響することです。
中心選手の家庭から「この組み合わせを変えてほしい」と言われると、断りにくく感じる。
コーチと親しい保護者から頼まれると、「無理です」と言いづらい。
逆に、普段あまり発言しない家庭の希望は後回しになってしまう。
誰かが意図的に差をつけているわけではなくても、こういう力関係は生まれます。
だから、私は配車担当者にすべてを背負わせないほうがいいと思っています。
安全上・家庭事情上の理由は考慮する。
それ以外は原則として配車担当者に任せる。
「希望は聞く。でも希望どおりになるとは限らない」
この線引きがないと、配車表を公開した瞬間から交渉が始まります。
配車表を送った後の「すみません、変更お願いします」が一番重い
土曜日18時37分。
配車表はすでにLINEへ送ってあります。
そこへ、
「すみません。明日、帰りだけ直接帰ることになりました」
と個別LINEが来る。
担当者は、
「了解です!」
と返す。
これで終わったように見えます。
でも終わっていません。
その子を乗せる予定だった運転手は、その変更を知っているでしょうか。
ほかの車へ影響はないでしょうか。
配車表は更新されているでしょうか。
翌日、試合が終わって、
「○○君はどこ?」
となる。
本人は、
「お母さんが言ったって」
と言う。
この「言った」は危険です。
誰に言ったのか。
配車担当者だけに言ったのか。
運転する保護者にも伝わっているのか。
チームの正式情報として更新されたのか。
ここを曖昧にしないほうがいいです。
個別LINEで変更を受けること自体は構いません。
ただし、
個別LINEで変更受付 → 正式な配車表を更新 → 全体へ更新通知
までを一つの作業にする。
個別LINEの中だけで配車を変更しない。
これだけで「聞いた・聞いていない」はかなり減ります。
「配車表最新版」「最新版2」「最終版」ができ始めたら危険です
Excelで作るか。
Googleスプレッドシートで作るか。
PDFにするか。
もちろん使いやすい方法で構いません。
でも、それより先に決めることがあります。
どれが正式な配車表なのか。
最初のPDFをLINEへ送る。
その後、変更が出て修正版を送る。
さらに変更。
「配車表最新版」
また変更。
「配車表最新版2」
最後に、
「配車表最終版」
そして翌朝、一人欠席する。
もう「最終」ではありません。
問題はファイル名ではありません。
古い配車表を保存している保護者と、最新の配車表を見ている保護者が混在することです。
だから、
「この場所に表示されているものだけを正式版とする」
と決めます。
変更履歴を全部覚えてもらう必要はありません。
全員が同じ最新版を見られるようにすればいい。
ここが決まっていないチームでは、配車担当者自身が「どれ送ったっけ?」となります。
完成したら、「人数」ではなく一人ずつ消していく
最後の確認方法も大事です。
「参加者15人。配車表にも15人いる。OK」
だけでは、私は終わらせません。
同じ子を二台に入れて、別の子が抜けていても、人数だけなら15人になる可能性があるからです。
参加者名簿を上から一人ずつ見ます。
佐藤 → A車。
鈴木 → A車。
田中 → B車。
というように、配車済みの選手を一人ずつ消していく。
次に復路も同じように確認する。
最後に、車を出してくれる家庭の子どもも確認します。
他人の子をどう乗せるかばかり考えていて、運転してくれる家庭の子が表から抜ける。
そんな単純なミスも起こり得ます。
そしてもう一つ。
配車担当者本人を頭の中から消してみます。
自分が明日の朝、発熱して来られないとする。
それでも、この表だけを見れば全員出発できるか。
分からないことが一つでもあるなら、その情報はまだ担当者の頭の中に残っています。
私はこれを、配車表の最後のチェックにしたほうがいいと思っています。
「今回も山田さんに頼もう」と思った瞬間、一度止まる
一回の試合だけなら、全員が乗れれば配車成功です。
でも、シーズンを通して見ると違います。
毎回同じ家庭が車を出していることがあります。
なぜか。
大きな車だから。
返事が早いから。
集合時間に遅れないから。
お願いすると嫌な顔をしないから。
要するに、頼みやすいからです。
これは悪意がなくても起きます。
むしろ悪意がないから気づきにくい。
車が一台足りない。
「山田さんなら出してくれるかな」
と思う。
そこで一度だけ止まる。
「前回も山田さんじゃなかったか?」
これを確認します。
完全に均等にする必要はありません。
仕事も家族構成も車も違うので、完全な均等を目指すと別の不公平が生まれます。
でも、
「今回もお願いしやすいから」
だけで同じ人を選び続けるのは違います。
配車表を人間関係で作り始めたら、断れない人から負担が増えます。
これは表計算では見えないところです。
配車表の作り方を簡単にすると、実はこの順番です
ここまでの話を、実際の作業順にするとこうなります。
1.参加者を確定する
誰が行くのかを先に決める。未回答の扱いも事前に決めておきます。
2.車出し可能な家庭から「選手を何人乗せられるか」を集める
車の定員を担当者が推測しません。
3.往路と復路の例外を先に拾う
現地集合、現地解散、帰りだけ保護者迎えなどを確認します。
4.必要座席数と実働座席数を比較する
不足しているなら、子どもの割り振りを始める前に追加の車を探します。
5.選手を各車へ割り振る
安全上・家庭事情上の条件を優先し、それ以外の希望は原則として配車担当者判断にします。
6.正式版を一か所に置く
変更があったらそこを更新します。
7.往路・復路それぞれで全選手を一人ずつ確認する
人数だけで確認しません。
8.担当者がいなくても出発できるかを見る
これで分からないことが残っていなければ、配車表は完成です。
Excelの関数より、この順番のほうが重要です。
ClubCoreを作った理由の一つも、この「担当者の頭の中」問題です
LINEが悪いとは思っていません。
連絡にはものすごく便利です。
でも、
参加回答は全体LINE。
車出しは配車LINE。
帰りの変更は個別LINE。
完成した配車表はPDF。
当日の欠席はまた全体LINE。
これを一人の担当者が頭の中でつなぐのは、かなり無理があります。
しかも、うまくできる人ほど周囲には大変さが見えません。
だからClubCoreでは、こうしたチーム運営の情報を、できるだけ人の記憶ではなく仕組み側へ逃がしたいと考えています。
ツールを入れれば保護者同士が仲良くなるわけではありません。
返信しない人が突然返信するようになるわけでもありません。
でも、
「誰が答えたか」
「誰が車を出せるか」
「今どの情報が正式なのか」
といった、本来人間関係で処理する必要のない部分まで、毎回LINEで交渉する必要はありません。
人間関係で解決しなくていい問題は、仕組みに逃がす。
それでいいと思っています。
最後に。いい配車表は、担当者が褒められる配車表ではありません
配車担当をすると、きれいな表を作りたくなります。
色を付ける。
罫線を整える。
車ごとに見やすくする。
もちろん、見やすさは大切です。
でも、本当にいい配車表はそこではありません。
朝、集合場所に来た子どもが、
「僕、どの車?」
と聞かなくていい。
運転する保護者が、
「誰を乗せるんだっけ?」
と担当者を探さなくていい。
試合が終わったとき、
「○○君、帰りは誰?」
とLINEをさかのぼらなくていい。
そして何より、配車担当者が金曜日の23時にスマホを握ったまま、未回答者の返信を待たなくていい。
その状態を作るためのものが、配車表です。
だから、配車表の完成条件は「全員を車に入れた」ではありません。
担当者の頭の中から、配車に必要な情報を全部外へ出せた。
そこまでできたら完成です。
あなたのチームではどうですか?
スポ少・少年団・クラブチームで実際にあった出来事や、保護者として感じていることを匿名で教えてください。ClubCoreブログの記事づくりの参考にさせていただく場合があります。
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