「うちの玄関、いつから部室?」スポ少の備品が保護者宅に住みつく問題と引き揚げ方

「うちの玄関、いつから部室?」スポ少の備品が保護者宅に住みつく問題と引き揚げ方

玄関を開ける。靴がある。傘がある。少年団のテントがある。最後の一つだけ、家族構成に入っていない。最初は「次の試合まで、ちょっと置かせてもらっていい?」だったのに、今では帰宅するたび、うちの誰より堂々と玄関で迎えてくれる。

折り畳み椅子、ボール、コーンも加わって、家の入口が小さなスポーツ用品売り場になった。もちろん販売はしていない。買ったのはチーム、床面積を払っているのはうち。「助かります!」と言われるたびに、こちらの靴が一足ずつ壁際へ追いやられる。備品を預かる人の負担は、重さだけではない。家の場所と、週末の予定と、いつまで続くか分からない気疲れもセットだ。

「一時預かり」に、返却日だけがない

備品が家に来るきっかけは、たいてい親切だ。車に積んで帰った。雨で濡れたので乾かした。練習場所に置けなかった。どれもその日の判断としては自然なのに、「次は誰が、いつ引き取るか」が決まっていないと、親切がそのまま保管契約になる。契約書はない。更新のお知らせもない。でも更新だけはされる。

そのうち「テントは○○さんのお宅ですよね」がチームの共通知識になり、持ち主のように扱われ始める。子どもは学年が上がるのに、テントだけは玄関に留年する。ここで困るのは、預かっている人が悪いわけでも、周りが必ずしも意地悪なわけでもないことだ。置き場所が見つかった安心感で、置かれた家の不便が見えなくなっている。

倉庫係を引き受けたら、配達係もついてきた

「置いておくだけ」と思っていたのに、試合前には「明日、持ってきてもらえますか?」が届く。物が自宅にある以上、断るとチームが困る気がして、結局こちらの車に積む。さらに終わったら持ち帰り、泥を落として、乾かして収納する。倉庫係のつもりで入社したら、配送・清掃・在庫管理の三部署を兼務していた。人事からの説明はなかった。

保管、運搬、手入れ、数の確認は、それぞれ別の仕事だ。保管場所を提供できる家庭でも毎回運べるとは限らないし、車を出せる人の家に収納場所があるとも限らない。「家にある人が全部やる」をやめるだけでも、負担の見え方は変わる。設営まで同じ家庭に寄っているなら、テント設営やグラウンド準備の担当を分ける方法と合わせて話し合いたい。

まず撮るのは、感動写真ではなく在庫写真

置き場所を相談する前に、家にあるチーム備品を一度並べて写真を撮る。「結構あります」では伝わらなかった量が、一枚なら伝わる。テント一張り、椅子四脚、ボール六個、コーン十本。数は実際の在庫に合わせて書き、壊れている物や濡れている物も記録する。ここで家族の靴まで備品一覧に入れないようにしたい。もう境界がかなり曖昧だが、靴はまだ家庭側だ。

一覧に必要なのは、品名、個数、現在の保管場所、状態、次に使う予定くらい。立派な表を作ることが目的ではなく、「何を、どこへ移す相談なのか」を全員が分かることが目的だ。使わない古い備品も混じっていたら、残すか処分するかはチームで決める。預かった人が勝手に処分する役まで引き受ける必要はない。倉庫の片づけなのに、いつの間にか裁判官まで兼ねるのは忙しすぎる。

「置ける家」を探す前に、置き場所の条件を決める

相談の第一声が「誰か家に置けませんか?」だと、玄関の部室が別の家庭へ引っ越すだけになりやすい。先に決めたいのは、必要な広さ、出し入れする時間、雨や湿気への対策、鍵を管理する人だ。学校や練習施設の倉庫を使いたい場合も、利用できるか、置いてよい物は何か、誰が開けられるかを管理者に確認する。「空いて見える」と「使ってよい」は別で、倉庫にだけ無断入部させるわけにはいかない。

共同で使える場所が見つからなければ、備品を減らす、種類ごとに分散する、有料の保管場所をチーム予算で検討する、といった選択肢がある。ただし、費用だけでなく運搬距離や出し入れの手間も比べたい。遠くの安い倉庫に移して、毎回同じ人が取りに行くなら、問題は収納から通勤へ転職しただけだ。家庭に預ける場合も、本人が了承した期間と範囲を決め、途中で見直せるようにしておく。

引き揚げる連絡には、日付と受け取り担当を入れる

「そろそろ、どなたかお願いします」だけだと、全員が心の中で「どなたか」に期待してしまう。家から備品を出したいときは、期限と具体的な受け渡しの場を示し、チームの代表や備品担当に調整を頼もう。限界まで我慢してから大演説をする必要はない。玄関を取り戻すために、引退会見を開かなくても大丈夫だ。

現在、テント一張りと椅子四脚を自宅で保管しています。今後は自宅での保管が難しいため、○月○日の練習時に引き渡したいです。写真と一覧を共有しますので、代表の方で次の保管場所と受け取り担当の調整をお願いします。運搬についても、当日来られる方に分担をお願いしたいです。

日付は実際に対応できる日を入れ、受け取り担当が決まったかまで確認する。「了解です」が十個ついても、当日の受け取り手がゼロなら、椅子はまたこちらの車に帰ってくる。話が進まない場合は、保管できる期限を改めて伝え、代表と具体的な対応を相談しよう。自宅住所を広い連絡網に載せたり、不在時に勝手に取りに来てもらったりせず、練習場所などで受け渡す方が管理しやすい。

テントにも、卒団の手続きを

移動が終わったら、備品一覧の保管場所を書き換え、今後の担当と受け渡し方法を共有する。壊れた場合の報告先、修理や買い替えの判断、必要な費用の扱いもチームで決めておこう。「預かっているから」という理由だけで、修理代まで家庭の財布へ自動転送される運用は避けたい。担当が変わるときに一覧ごと渡せるようにしておけば、次の人が押し入れの奥から謎の旗を発掘するところから始めずに済む。

家が広いことも、車が大きいことも、チームの保管場所を無期限に提供する約束にはならない。協力したい気持ちと、家の中に置き続けられるかは別々に考えていい。親切を続けてもらうには、その親切に終わりの日をつけることも大切だ。テントを引き渡した夜、玄関に久しぶりに床が見えたら、少し立ち止まって眺めてほしい。そこは新しく増えた部屋ではない。もともと、あなたの家だった。

あなたのチームではどうですか?

スポ少・少年団・クラブチームで実際にあった出来事や、保護者として感じていることを匿名で教えてください。ClubCoreブログの記事づくりの参考にさせていただく場合があります。

※個人名・チーム名・学校名など、個人や団体を特定できる情報は入力しないでください。

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