兄弟を一緒に乗せてもらうのはアリ?スポ少配車で「空席3」が一瞬で消える謎

兄弟を一緒に乗せてもらうのはアリ?スポ少配車で「空席3」が一瞬で消える謎

土曜の夜、翌日の試合の配車がようやく完成した。車三台、選手全員着席、しかも空席が三つある。配車担当者の頭の中では、すでに小さな「業務終了」のファンファーレが鳴っている。そこへLINEが来る。「すみません、下の子も一緒に乗せてもらっていいですか?」。一席消えた。続いて別の家庭から「うちも妹が……」。二席目消滅。空席というものは、スポ少では見つかった瞬間に絶滅する希少生物らしい。

別に兄弟を乗せることが悪いわけではない。下の子を自宅に観葉植物のように置いてくるわけにもいかないし、夫婦どちらかが仕事なら連れて行くしかない家庭もある。ただし、ここで毎回「まあ一人くらいなら」と処理していると、最終的に一人くらいが五人くらいになる。スポ少の「一人くらい」は、居酒屋の「一杯だけ」と同じくらい信用してはいけない。

結論はかなり単純だ。兄弟同乗はアリ。ただし、A「まず選手の席を確保する」、B「兄弟は最初から申告する」、C「配車確定後は空席がある場合だけ乗れる」。この三つでいい。兄弟を禁止する必要もなければ、兄弟に選手と同じ優先搭乗権を与える必要もない。航空会社で言えば、選手が予約客、兄弟は空席待ちである。ラウンジはない。

「弟一人くらい」で壊れるほど、配車は意外とギリギリでできている

配車表だけ見ていると、「あと二席あるじゃん」と簡単に見える。ところが現実の車内にはボール、救急バッグ、チームバッグ、水筒、上着、折りたたみ椅子などがいて、人間より先に遠征気分を出している。七人乗りだから七人乗れるとは限らない。後ろを開けたら荷物がすでに全国大会レベルの布陣を敷いていて、「この隙間なら一年生くらい入るかな」と考え始めたら、もう何かがおかしい。

しかも空席は単なる空席ではない。当日の欠席、急な送迎変更、帰りだけ別行動になる家庭などが出ると、その一席が逃げ道になる。そこを前日の段階で兄弟まで全部詰め込むと、朝になって一人増減しただけで配車表が崩れ、担当者は朝食より先にパズルを始めることになる。日曜朝6時から脳トレをしたくてスポ少に入った親はいない。

だから最初の原則は、「車の定員」ではなく「チームとして使える席数」で考えることだ。運転する保護者本人に何人まで乗せられるかを申告してもらい、その人数以上は使わない。車検証を見ながら「理論上はあと二人いけます」と攻める必要はない。スポ少の配車で理論値を追求し始めると、だいたい最後に誰かが疲れる。

兄弟同乗が揉める本当の原因は、一席ではなく「誰が後始末をするか」だ

「弟もお願いします」と送る側の作業時間は十秒ほどだ。しかし、その十秒を受け取った配車担当者は、空席確認、運転手への確認、選手の入れ替え、配車表の修正、全体への再連絡という謎の追加コースに突入する。頼んだ側は弟を一人追加したつもりなのに、担当者側では小規模な旅行代理店が突然開業している。しかも給料はゼロ、営業時間だけは深夜対応である。

ここで不満が生まれるのは、「兄弟を乗せること」そのものではない。「お願いした人は一言で済み、調整する人だけ仕事が増える」という構造だ。さらに完成後に「やっぱり帰りはうちで迎えに行きます」が来ると、担当者の頭の中では、さっき消した名前をもう一度戻す作業が始まる。配車担当になった覚えはあるが、復元ポイントの管理者になった覚えはない。

だから兄弟同乗を希望するなら、出欠や車出しの回答と同じタイミングで最初から申告する。ここを後出し自由にすると、兄弟一人の話ではなく「完成した配車を何回作り直すか」という問題になる。配車確定後に希望が出た場合は、組み替えず、その時点の空席に入れば乗れる。入らなければ今回は各家庭で対応する。これなら担当者の人格ではなく、配車表が断ってくれる。

「いいですよ」と一度言ったら、なぜか永久契約になる問題

兄弟同乗でもう一つ面倒なのが、前回の親切が次回の標準仕様になることだ。最初は「今回だけなら大丈夫」と思って乗せる。翌週また頼まれ、「前も大丈夫だったし」と引き受ける。三回目になると、頼む側では「いつも乗せてもらえる車」、乗せる側では「なぜか毎回うち」という、見事に別々の物語が完成する。

これがスポ少の怖いところで、契約書は一枚もないのに慣習だけは猛烈な速度で成立する。「一度体育館の鍵を取りに行った人が、なぜか鍵担当になる」「一度写真を撮った人が、なぜかカメラ担当になる」。同じ仕組みで、一度弟を乗せた車が「兄弟対応車両」に昇格する。昇格した本人だけが、その人事を知らない。

だから「前回乗せたから今回も」は基準にしない。毎回、空席があるか、運転する家庭が了承しているかで決める。前回OKは前回OKであって、終身名誉兄弟送迎車に任命されたわけではない。この当たり前を明文化しておくだけで、親切が義務に変身する事故はかなり減る。

だからといって「兄弟禁止」にすると、別の場所から煙が出る

ここまで読むと、「面倒だから兄弟は禁止でいいじゃん」と思うかもしれない。それをやると、今度は下の子を預けられない家庭が詰む。上の子を試合に行かせるために下の子をどうするかという、突然の保育園経営会議が家庭内で始まる。配車係は楽になったが、参加できない選手が出たら、それはそれで何を解決したのか分からない。

兄弟が同じチームに所属している家庭もあるし、未就学児を連れて動かざるを得ない家庭もある。事情が違うものを全部「禁止」でまとめると簡単だが、簡単なのはルールを書いた人だけだ。現場では「じゃあうちは行けません」が発生し、その後にまた別の調整が始まる。スポ少では問題を一個消したと思ったら、隣のマスから別の問題が出てくる。モグラ叩きのモグラがLINEを使ってくる感じである。

そこで「禁止」ではなく優先順位を決める。第一優先は大会や試合に参加する選手。第二に必要な大人の同乗。そこまで決めたあとで空席があれば兄弟を乗せる。この順番なら、兄弟連れの家庭を責めなくても済むし、車を出す家庭にも「当然乗せてください」という圧がかからない。

解決策A まず選手を全員乗せる。兄弟はそのあとに考える

最初に決めるべきことは「兄弟を何人まで認めるか」ではない。「誰の席を先に確保するか」だ。参加選手全員の行き帰りを確定させ、それでも使える席が残っているなら兄弟を入れる。これだけで、配車担当者が「この弟を入れるために選手を別の車へ移し、その選手を移したので別の妹を……」という、永久機関みたいな作業をしなくて済む。

ポイントは、兄弟を「余ったら乗せるかわいそうな人」にしないことだ。優先順位の違いであって、人間の順位ではない。試合へ行くために組んでいる配車なのだから、まず試合へ行く人を乗せる。当たり前すぎて説明するのも変だが、スポ少では当たり前のことほどLINEで二十往復くらいするので、先に書いておいたほうがいい。

これなら兄弟同乗を頼む側も、「うちだけ断られた」と感じにくい。満席なら誰でも乗れない、空いていれば誰でも相談できる。担当者が好き嫌いで決めているように見えなくなるだけで、人間関係の無駄な推理ゲームが一つ減る。

解決策B 兄弟は「後から一席追加」ではなく、最初から申告する

次に、兄弟を連れて行く可能性がある家庭は、出欠回答の時点で「兄弟一人同乗希望」と書いておく。確定後に突然出すから、一席が手榴弾みたいな扱いになる。最初から分かっていれば、担当者は選手を配置したあと、その希望まで含めて空席を見ることができる。

さらに大事なのは、「兄弟を乗せたい」と「必ずチームで席を用意してほしい」を分けることだ。希望は出せる。しかし席の保証まではしない。ここを曖昧にすると、「申告したんだから席あるよね」という予約制度に勝手に進化する。スポ少の仕組みは、放っておくとたいてい担当者に不利な方向へアップデートされる。

締切後に兄弟同乗の希望が出た場合も、完成済みの配車を原則として崩さない。空席があれば入れる。なければ家庭で移動方法を考える。特別な事情がある場合だけ個別に調整する。この「完成したものを毎回壊さない」が、実は一番効く。

解決策C 空席があっても、運転する人が「いい」と言った席だけ使う

七人乗りの車だからといって、空いている座席がすべてチーム所有になるわけではない。荷物を置きたいこともあるし、チャイルドシートがある場合もあるし、帰りに買い物へ寄る家庭もある。車を一回出した瞬間に自治体の路線バスへ転職したわけではないので、「あと何人いけます?」を毎回本人に決めてもらえばいい。

特に兄弟まで乗せる場合は、運転手本人の了承を前提にする。配車担当者が「たぶん大丈夫でしょう」で勝手に増員すると、運転する本人が最後に知るという、謎のサプライズ企画になる。「本日のゲストは弟くんです!」と言われても困る。サプライズは誕生日だけで十分だ。

安全面でも、子どもの人数を「小さいから半人分」のようには扱えない。警察庁は全座席でシートベルトを着用するよう案内しており、6歳未満の幼児には原則としてチャイルドシートの使用が義務付けられている。[出典1] つまり「詰めればいける」は解決策ではない。配車は福袋ではないので、最後に何人入るか開けてみる方式はやめたほうがいい。

最終結論は「兄弟OK。ただし選手優先・事前申告・空席だけ」で十分だ

兄弟を一緒に乗せてもらうのはアリだ。ただし、「兄弟がいる家庭だから当然席を用意してもらえる」でも、「面倒だから全面禁止」でもない。まず選手の配車を完成させる。兄弟同乗は最初から申告する。そして完成後に空席があり、運転する人も了承している場合だけ乗せる。この三つを固定すれば、毎回ゼロから道徳会議を開催しなくて済む。

特に大切なのは、確定した配車を兄弟追加のたびに組み替えないことだ。「今回は空席がないので難しい」が普通に言える状態を作る。断る人が冷たいのではなく、席がないだけ。これなら「誰が優しい」「誰が非協力的」という保護者品評会に発展しにくいし、配車担当者も深夜に知らない家庭の家族構成まで暗記する必要がなくなる。

最初の「下の子も一緒にいいですか?」というLINEに戻る。答えは、「空席があればもちろんOK」でいい。ただし、その空席は選手を全員乗せたあとに残っている席であり、車を出す人が使っていいと言った席だけだ。ここさえ決めておけば、空席三つが兄弟三人で消えても誰も驚かない。問題は空席が消えることではない。空席が消えたあと、なぜか配車担当者の休日まで一緒に消えることである。

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