「やっぱり一つ上のサイズで!」スポ少のチームウェア注文係を深夜の洋服店にしない方法

「やっぱり一つ上のサイズで!」スポ少のチームウェア注文係を深夜の洋服店にしない方法

チームTシャツの注文係を引き受けたとする。「サイズと枚数をまとめてお店に送るだけです」と聞いたので、それならできそうだと思った。ところが翌日、保護者から「うちの子、何サイズですかね?」とLINEが来る。こちらはその子が何年生かは知っている。好きなポジションも、たまに忘れ物をすることも知っている。でも肩幅については、そこまで深い関係ではない。

続いて「来年も着たいので、大きめがいいですよね?」と聞かれる。今度は来年の身体まで求められた。注文係の名札の裏に、成長予測士の資格がついていたらしい。枚数を数える仕事だったはずなのに、少しずつ相談の内容が服屋さんになっていく。しかも服屋さんなら営業時間があるが、保護者のLINEには閉店の概念がない。

一枚のシャツに、家族三人の意見が入る

練習の帰りにお父さんが「うちはLでお願いします」と言う。夜になるとお母さんから「Mで大丈夫だと思います」と届く。翌日、本人は「Sがいい」と言っていると聞く。ここまで来ると、注文表というより家族会議の議事録である。多数決ならどれも一票。担当者が最後の一票を投じる仕組みには、できれば参加したくない。

どの意見も、本人に合う服を買いたいから出てくる。父は長く着せたい、母は今のサイズを見ている、子どもはダボダボが嫌なのかもしれない。その事情を全部理解してから注文するとなると、一枚ごとに家庭訪問が必要になる。共同注文で決めておきたいのは、家庭内で相談してから、一人の代表者が最終回答を送ることだ。注文係が家族の意見を調停しないだけで、ずいぶん話が短くなる。

「いつものサイズ」は、本人以外には暗号である

「いつものサイズでお願いします」と言われても、その「いつも」がこちらには分からない。去年のチームTシャツなのか、学校の体操服なのか、普段着なのか。去年から何センチ伸びたかまで察してほしいと言われたら、服の注文の前に付き合い方を見直したい。子どもをよく見ていることと、全員の衣類サイズを記憶していることは別の能力である。

サイズは、対象商品の案内を見て各家庭で決めてもらう。たとえばアシックスの公式サイズ案内では、ジュニアとメンズ・ユニセックスの表が分かれ、身長だけでなく胸囲やウエストも示されている。これは同社の例なので、実際には注文する商品のメーカーや販売店の表を使いたい。Mという一文字に、すべての服の共通認識を背負わせない方がいい。

対象商品の試着サンプルを借りられるなら、日を決めて本人に着てもらう。「来年も着られる」と親が喜んでいても、本人は今日の袖を気にしているかもしれない。サンプルがなければ、サイズ表や掲載されている仕上がり寸法を確認し、身体の寸法と服自体の寸法を混ぜない。不明点は販売店に確認する。担当者が「たぶんこれで」と補完すると、その「たぶん」が届いた服と一緒に返品されてくる。家庭が選び、担当者がその選択を取りまとめる線は残しておこう。

「一つ上に変更で」が、担当者の夜を一つ増やす

注文表を完成させる直前に「やっぱり一つ上のサイズで!」が届く。送った人は一行で済んでいる。しかし受けた人は、元のサイズを探し、「一つ上」が何かを確認し、一覧を直して枚数を数え直す。そこで「兄の分も一枚」と言われると、兄のサイズ、色、支払いまで新しい枝が伸びる。シャツは綿やポリエステルだが、注文作業には見事な繁殖力がある。

変更は受け付けるとしても、変更後の注文内容を丸ごと送ってもらう方がいい。品名、商品番号、色、サイズ、枚数、必要なら名前の表記まで、一つの書式にする。「前に送ったやつの大きい方」で扱わない。担当者のスマホを注文履歴の発掘現場にしないためだ。口頭で頼まれた場合も、同じ回答先へ記入をお願いする。「聞いていない」と「言いました」の試合には、だいたい映像判定がない。

回答先を一つにすることは、冷たくすることではない。個別LINEも口頭も全部受ける人ほど親切に見えるが、その親切には読み返しと転記が含まれている。周りから見えるのは「すぐ対応してくれた」までで、その後の夜更かしは見えない。窓口を統一するのは、便利な人を少し不便にするためではなく、便利な人が来年もチームにいてくれるためである。

締切を過ぎた瞬間、注文係だけ悪役になる

締切の前は「まとめてくれて助かります」と言われていたのに、締切後に変更を断ると「一枚くらい、何とかならない?」になる。何とかしたい気持ちはある。ただ、販売店への発注後なら、できるか決めるのは担当者ではない。「冷たい人」と思われたくなくて問い合わせを重ねているうちに、本人だけがチームとお店の間で板挟みになる。Tシャツより先に、担当者の方が薄くなっていく。

だから家庭の回答締切と、内容確認を経て販売店へ発注する日を分けて案内する。たとえば日曜に回答を集め、月曜に各家庭へ内容を返し、火曜夜までに確認、水曜に発注する。日程は販売店の条件に合わせた運用例だ。各家庭には「この内容で注文してよい」と返信してもらい、受付済みと確認済みを区別する。未回答を担当者の勘で埋めない。必須ウェアで間に合わない家庭があるなら、代表から連絡して対応を相談する。

チームTシャツの注文は○月○日までに、品名・色・サイズ・枚数をご回答ください。サイズは対象商品の案内を確認し、ご家庭で決定をお願いします。集計後、ご家庭ごとに内容をお送りしますので、○月○日までに最終確認の返信をお願いします。販売店への発注予定日は○月○日です。発注後の変更・追加は販売店への確認が必要なため、お約束できません。

発注後の変更が来たら、販売店に対応可否と費用、納期を確認し、依頼した家庭の了承を得てから進める。返品・交換や名前入り商品の条件も先に確認して共有し、一律にできる・できないと決めつけない。追加送料を担当者が黙って払うと、その場は平和になる。しかしその平和は、担当者の財布で買っている。気まずさを解消する予算まで、保護者が持つ必要はない。

注文係の自宅が、受け取りカウンターになるころ

納品の日は少しうれしい。段ボールを開けると、みんなのシャツがそろっている。ところが配り終わるまで仕事は続く。「今日行けないので、預かっておいてください」が重なると、自宅の一角に小さな受け取りカウンターができる。取りに来る日は未定、営業時間は相手の都合。買ったのはみんなのシャツなのに、なぜか一家庭だけ店舗面積を提供している。

届いた物は発注記録と照合し、品名、色、サイズ、枚数、加工内容を確認する。違いがあれば、家庭の回答、販売店へ送った注文、現物を順に比べる。「あの人が間違えた」と先に決めない。配布は練習日などの受け渡し日時を案内し、受領済みを記録する。支払いは会計担当と方法・時期を先に決め、立替が必要なら返金の手順も確認しておこう。注文、集金、配布を全部同じ人がする場合でも、それぞれの終わりは作れる。

おそろいにするのは服であって、負担ではない

共同注文は便利だ。同じシャツを着た子どもたちを見ると、まとめてよかったと思える。ただ、その一枚の裏側に、サイズ相談、催促、修正、集金、配布が入っていることは知っておきたい。「枚数を送るだけ」という説明で引き受けた人が疲れるのは、仕事に向いていないからではない。実際に頼まれた仕事が、説明よりずっと多かったからかもしれない。

注文係に必要なのは、全家庭の服を選ぶ才能ではなく、確認した内容を安心して注文できる手順だ。各家庭がサイズを決め、内容を確認し、会計と受け渡しも分担する。そのうえで、まとまった注文を販売店へ届ける。初めの場面に戻って「うちの子、何サイズですかね?」と聞かれたら、サイズ表を案内していい。来年の肩幅までは答えなくていい。次の試合でみんなが同じシャツを着ているとき、注文係も普通に観客席に座っている。それくらいで、共同注文は十分成功である。

あなたのチームではどうですか?

スポ少・少年団・クラブチームで実際にあった出来事や、保護者として感じていることを匿名で教えてください。ClubCoreブログの記事づくりの参考にさせていただく場合があります。

※個人名・チーム名・学校名など、個人や団体を特定できる情報は入力しないでください。

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