集合時間5分前に来る親、30分前に来る親|配車の日だけ性格が丸見えになる

集合時間5分前に来る親、30分前に来る親|配車の日だけ性格が丸見えになる

土曜日の朝7時。集合は7時30分である。まだコンビニのおにぎりすら完全には目を覚ましていない時間なのに、駐車場にはすでに一台のミニバンが停まっている。運転席にはお父さん。6時58分着。早い。集合30分前というより、もう前日の夜からいたのではないかという安定感がある。あとテントさえ張ればキャンプ場である。

そのお父さんはスマホを見ながら「まあ、遅れるよりいいからね」と言う。もちろん声は穏やかだ。しかし7時20分を過ぎても誰も来ないと、スマホを見る回数が増える。7時25分になると時計も見る。7時27分になると駐車場の入口を見る。もはや野鳥観察である。観察対象は鳥ではない。「まだ来ない○○家」だ。

そして7時28分。例の家族が普通にやって来る。「おはようございまーす」。遅刻していない。法律上もチーム規約上もたぶん無罪である。子どもも元気、荷物もある、水筒もある。何一つ問題がない。なのに30分前から待っていた親の脳内では、裁判が始まっている。「被告、集合時間に対する意識が軽すぎる罪」。判決はまだ出ていないが、だいたい有罪である。

「7時30分集合」は、実は全員が別の時間を見ている

集合時間で揉める一つ目の理由は単純で、「7時30分」という日本語を全員が違う意味で読んでいるからだ。30分前に来る親にとって7時30分は、「7時30分に来い」ではない。「7時30分には車が動いていてほしい。できれば我々はすでに高速道路に乗っていたかった」である。頭の中では集合時間ではなく、出発予定時刻になっている。

一方、5分前に来る親は恐ろしいほど素直だ。「7時30分集合」と書いてある。だから7時25分に来る。何がおかしいのか。むしろ5分早い。自分としてはかなり頑張った。あと1分早ければ表彰状をもらえるのではないかと思っている。30分前組から見れば「ギリギリ」、5分前組から見れば「余裕を持った行動」。同じ駐車場にいるのに時差が25分ある。

さらに面倒なのは、どちらも間違っていないことである。30分前の親が「普通もっと早く来るでしょ」と言っても、それはその人の普通でしかない。5分前の親が「遅刻してませんよね」と言えば、それも完全に正しい。正論対正論。つまり一番面倒な戦いである。スポ少の保護者同士が本当に揉めるのは、悪人対善人ではなく、「私の普通」対「あなたの普通」だったりする。

30分前に来る親は、まだ起きていない事故まで処理している

二つ目の理由は、早く来る親の頭の中では、集合前からすでに事件が発生しているからだ。「一人寝坊したらどうする」「荷物が積めなかったらどうする」「一台来なかったらどうする」「高速が渋滞したらどうする」「体育館の場所を間違えたらどうする」。現実世界ではまだ何も起きていないのに、脳内ではチームが三回くらい壊滅している。

そのため30分前に来る。すると当然、暇なので仕事を始める。荷物を確認する。ボールケースを積む。子どもを数える。配車表を見る。「今日○○君どの車?」と聞かれる。欠席連絡が来ていない子を確認する。気が付くと朝7時10分から無給の運行管理会社を開業している。会社名は「株式会社なんで私が全部やってるの」である。

そして7時28分に来た親が笑顔で「うち、どの車でしたっけ?」と聞く。悪気はまったくない。本当に知らないだけである。しかし、すでに荷物を積み直し、一人欠席を処理し、車の組み合わせまで変更していた人の頭の中では、静かに何かが折れる。「どの車でしたっけ?」ではない。「私はさっきから何をしていたのでしょうか選手権」が始まる。

ただし、ここで5分前の親を悪者にすると話を間違える。その親から見えている仕事は「集合場所に時間までに子どもを連れてくること」だからだ。荷物確認や欠席者への連絡が裏で発生しているなんて知らない。知らない仕事には参加できない。透明人間の手伝いをしろと言われても無理である。

早く来る親ほど、なぜか「早く来る係」に自動就任する

三つ目が一番厄介である。スポ少では、一回やったことが職業になる。「車出せます」と一度言えば車出し担当。「写真撮りますよ」と言えば撮影担当。「Excel触れます」と言った瞬間、卒団まで事務局長である。特殊技能を見せたら最後だ。スポ少では能力の申告は慎重にしたほうがいい。下手をすると定年がない。

時間も同じだ。一度30分前に来ると「あの人は早い人」になる。次回も早く来る。その次も来る。いつの間にか、その人が最初に駐車場を開け、荷物を確認し、遅い家庭を気にするのが通常運転になる。ところが、ある日その人が集合10分前に来ると「今日遅かったね」と言われる。集合時間はまだ10分後なのにである。これはもう時空がねじれている。

善意というのは怖い。一回無料でやると、二回目からサービス内容に組み込まれる。「前回もやってくれたから」という、世界で最も軽い業務委託契約が勝手に成立する。本人は契約書にサインした覚えがない。それでも周囲の頭の中では更新済みである。

逆に毎回5分前の人には、最初から何も頼まれなくなる。「あそこはギリギリだから」。すると早く来る人はますます仕事が増え、遅めの人はますます仕事から遠ざかる。これで半年後に「みんなで協力していこう」と言われると、早く来ている親は笑うしかない。笑顔の意味は「何を今さら」である。

本当に腹が立つのは5分前に来ることではない

ここで少し整理すると、30分前組が本当に怒っているのは、相手が7時25分に来たことではない場合が多い。自分がその30分でやったことが誰にも見えていないのが腹立たしいのだ。早起きしたことそのものではなく、「その間に私、全部やってたんだけど」が本体である。

もし30分前から来ても、コーヒーを飲みながら車内でYouTubeを見ていただけなら、7時25分の親を見てもそこまで腹は立たない。自分も好きで早く来ただけだからだ。ところが荷物を運び、連絡を回し、人数まで確認した後だと話が変わる。「この人が5分前に来られるのは、こっちが30分前から準備しているからでは?」という疑問が出てくる。

ここで配車の日だけ性格が丸見えになる。「時間に厳しい人」と「時間にルーズな人」という単純な話ではない。先回りして責任を背負う人、書いてあることだけをきっちり守る人、周囲を見て手伝う人、自分の役割だけ済ませる人。普段のLINEでは「了解です😊」で全員同じに見えていた人間が、朝7時の駐車場で突然フルスペックを公開する。

恐ろしい場所である。

人間ドックならぬ保護者ドックだ。

「もっと早く来てください」で解決しようとすると、だいたい失敗する

では、「全員15分前に来てください」とすれば解決するのか。半分は解決するが、半分は新しい面倒を生む。なぜなら今度は15分前に来た人に対して、30分前組が「本当に15分前に来るんだ」と思い始めるからだ。もうどうしろというのか。ルールを守ったら守ったで怒られる。罠である。

さらに「余裕を持って集合してください」も危険だ。「余裕」とは何分なのか。5分か、10分か、30分か。人によっては45分である。「早めにお願いします」はもっと危ない。「早め」という言葉ほど、日本社会で無料残業を生み出してきた単語も珍しい。

だから「常識」に任せない。

集合時間の問題を解決するなら、時間を二つに分ければいい。「7時20分集合、7時30分出発」とする。これだけでかなり変わる。7時20分までに全員そろう必要があるなら、それを集合時間にする。7時30分に出発したいのに「7時30分集合」と書くから、7時29分に人間が現れて驚くことになる。いや、書いた通りに来ただけである。

さらに準備が必要な人だけ時間を分けてもいい。「車出し担当7時15分、選手7時20分、7時30分出発」。これなら誰も朝6時55分から孤独に駐車場を守らなくて済む。防犯カメラではないのだから、そんなに早く現場入りする必要はない。

集合前の仕事を「気付いた人がやる」から揉める

もう一つ変えるべきなのが、集合前に発生する仕事だ。荷物確認、人数確認、欠席対応、車の変更。これを「その場にいる人が何となくやる」にすると、必ず早く来る人へ寄っていく。早く来た罰ゲームになってしまう。

だから、必要なものだけ担当を決める。荷物担当は荷物だけ確認する。配車担当は人数と車だけ見る。各家庭は決められた時間までに子どもを連れてくる。来なければ出発に間に合わない。それ以上、全員が全員を心配して朝から捜索隊になる必要はない。

特にやめたほうがいいのが、遅れていない家庭への「まだですか?」LINEだ。集合10分前に来ていないからと連絡すると、相手からすれば「まだ10分ありますけど」となる。当然である。送り手は親切、受け手は監視。親切というのは一歩間違えるとGPSになる。

「7時20分集合、7時30分出発。7時20分を過ぎる場合のみ連絡」としておけば、それで終わる。人間の性格を教育する必要はない。時刻の意味を明確にするだけでいい。

結論。5分前の親も30分前の親も直さなくていい

結局、集合時間5分前に来る親と30分前に来る親のどちらが正しいのか。

どちらでもいい。

30分前に来たい人は来ればいい。朝の駐車場が好きなのかもしれない。誰もいない体育館前で季節の移ろいを感じたいのかもしれない。5分前で十分な人は5分前に来ればいい。ただし、チームとして準備に10分必要なら、集合時間を10分前に設定する。それだけの話である。

解決策は三つしかない。出発時刻と集合時刻を分ける。集合前に必要な作業を担当化する。そして「早め」「余裕を持って」「常識的に」という、解釈すると無限に伸びるゴムみたいな言葉を使わない。この三つを決めれば、親の性格を矯正しなくても配車は回る。

スポ少で一番疲れるのは、違う性格の人がいることではない。違う性格の人たちに、説明のない同じ行動を期待することだ。

次の土曜日も、30分前に来る親はたぶん30分前に来る。5分前の親も、おそらく5分前に来る。人間はそう簡単には変わらない。それでいい。変えるべきなのは保護者ではなく、「7時30分集合」の意味のほうだ。

それでも6時55分に来るお父さんはいる。

もうそこまで来ると止めなくていい。

たぶん本人も少し楽しい。

あなたのチームではどうですか?

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※個人名・チーム名・学校名など、個人や団体を特定できる情報は入力しないでください。

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