スポ少で子どもの序列はいつ決まる?低学年の「上手い・下手」が高学年で変わる理由

スポ少で子どもの序列はいつ決まる?低学年の「上手い・下手」が高学年で変わる理由

結論から言う。

スポ少の子どもの序列は、小学生では決まらない。

以上。

……で終わるとSEO的にも編集者的にも怒られるので続けるが、本当にこれが答えである。

小学2年生でチーム内15番手だった子が、そのまま人生15番手として市役所に登録される制度はない。小学3年生のベンチメンバーに「あなたは2038年まで控えです」という契約書が届くこともない。

ところが、スポ少の体育館では、ときどきそれに近いことが起きる。

小学2年生。

一人だけドリブルが速い。シュートも入る。試合では20点取る。

保護者席がざわつく。

「あの子、すごくない?」

そして試合が終わるころには、本人が知らないところで将来の進路まで決まりかけている。

「あの子は絶対伸びるよ」

「中学でもエースだろうね」

「強豪行くんじゃない?」

まだ漢字ドリルをランドセルの底で熟成させている8歳である。

一方、ボールを持った瞬間に「あっ」という顔をして、とりあえず近くの味方に渡す子もいる。

保護者席も「あっ」という顔をする。

親は帰りの車で考える。

「うちの子、センスないのかな……」

いや、待て。

今日の夕飯がカレーだというだけでテンションが爆上がりする年齢で、スポーツ選手としての最終評価まで出すのは早すぎる。

低学年の「上手い」は、才能ランキングというより「今できることランキング」だ

低学年では、少しの差がものすごく大きく見える。

体が少し大きい。足が少し速い。競技を始めたのが少し早い。兄や姉がやっていて、家でもボールを触っている。

この「少し」が重なると、小学1〜3年生では圧倒的に見える。

ミニバスなら、大きくて速い子がボールを取って、そのままゴールまで行く。

作戦名は「○○君、頼んだ」。

少年サッカーなら、足の速い子へボールを蹴る。

作戦名は「○○君、頼んだ」。

少年野球なら、球の速い子に投げてもらう。

作戦名は、やはり「○○君、頼んだ」。

少年スポーツの戦術会議は、ときどき一人の小学生に日本経済くらい依存している。

そして○○君は本当に活躍する。

だから試合に出る。

試合に出るから経験が増える。

経験が増えるから、さらに上手くなる。

すると周囲の大人は思う。

「やっぱり才能が違う」

もちろん、本当に才能がある可能性もある。

でも、「現時点で他の子よりできる」と「将来も他の子よりできる」は同じ意味ではない。

小学2年生で足し算が速かった子を見て、「この子は将来、微分積分でも学年トップだな」とまでは普通言わない。

スポーツになると、なぜか言う。

高学年になると「デカい・速い・強い」だけでは無双できなくなる

低学年のスポーツには、かなり強力な特殊能力がある。

「同級生より体が大きい」

これである。

ミニバスなら、リバウンドが取れる。接触しても負けない。そのままシュートまで持っていける。

サッカーなら、相手を振り切れる。

野球なら、速い球を投げられる。

低学年ではこれだけで「すごく上手い」に見えることがある。

ところが高学年になる。

周りも大きくなる。

速くなる。

強くなる。

すると、それまで使っていた「体格差でなんとかする」というチートコードが突然使用期限を迎える。

本人は何も悪くない。

昨日までSSRだったカードが、アップデートしたら全員SSRになっただけだ。

ここから必要になるものが変わる。

相手を見る。状況を判断する。味方を使う。フェイントを入れる。次のプレーを予測する。苦しい状況でも技術を出す。

低学年では「速い」で終わっていた評価表に、突然ものすごい数の項目が追加される。

親からすると、

「最近、前ほど目立たないな」

となる。

違う。

下手になったとは限らない。

周りが追いついたのである。

100メートル先を走っていた子が止まったのではなく、後ろの集団がものすごい勢いで追いついてきた。

親としては「あれ? 話が違う」となるが、誰も「6年生でも永久エース保証」とは言っていない。

勝手に脳内で5年契約を結んでいただけだ。

逆に「全然だった子」が突然うまくなる。親から見ると突然だが、本人からすると全然突然ではない

高学年になると、必ずと言っていいほど不思議な子が出てくる。

「あれ? あの子、こんな上手かったっけ?」

去年まで試合に出ても目立たなかった。

ボールを持ってもすぐ渡していた。

体も小さかった。

ところが5年生、6年生くらいになると、急に動きが変わる。

速い。

判断できる。

当たり負けしない。

シュートまで入る。

保護者席がざわつく。

「あの子、急に伸びたね」

急にではない。

大人が気づくのが遅かっただけである。

その子は3年生のころから練習していた。

できないなりに走っていた。

パス練習もしていた。

ボールも触っていた。

ただ試合で目立つだけの体格やスピードがまだなかった。

それが成長して、今まで積み上げていたものと身体能力がつながる。

親から見ると「突然覚醒した」。

本人からすると「いや、俺ずっと練習してたんだけど」である。

Windows Updateと同じだ。

98%から異常に長い。

何も起きていないように見える。

電源を切りたくなる。

そしてある日、突然起動する。

子どもの成長中に強制終了ボタンを押してはいけない。

スポ少で一番早く序列を決めたがるのは、実は子どもではなく大人だ

子どもは意外とあっさりしている。

昨日まで自分より下手だった子が上手くなれば、

「○○、最近うまくね?」

くらいで終わる。

ところが親は違う。

記憶力がいい。

「あの子、2年生のとき全然だったよね」

知っている。

「昔はうちの子のほうが出てたよね」

覚えている。

「去年まではうちの子がスタメンだったんだけど」

去年のスタメン表を脳内でラミネート加工して保存している。

そして序列が入れ替わると、なんとなく落ち着かない。

以前は普通に褒めていた子なのに、自分の子より出場時間が長くなった途端、

「まあ、今日は相手との相性もあるからね」

急に戦術分析官になる。

さらに点を取られる。

「でも中学になったら分からないよね」

未来へ逃げる。

その子が中学でも活躍する。

「高校になると体格も変わるから」

まだ逃げる。

高校でも活躍する。

「社会人になったらスポーツだけじゃないからね」

ついに競技が終わった。

相手の子は何もしていない。

ただ上手くなっただけである。

「昔はうちの子のほうが上手かった」は、世界で最も役に立たないスポーツ情報の一つだ

親同士の会話で、たまに出てくる。

「低学年のころは、うちの子のほうが上手かったんだけどね」

これは事実かもしれない。

だが、現在の試合には何の効力もない。

「小学校では俺のほうが足速かった」と40歳の同窓会で言っているお父さんとほぼ同じである。

だから何だ。

問題は、親が過去の序列を基準にすると、現在の子どもの成長まで見えなくなることだ。

以前エースだった子が、今はチームの3番手になった。

でも以前できなかったパスができるようになっているかもしれない。

守備が上手くなっているかもしれない。

周りを見られるようになっているかもしれない。

本人は成長している。

ただ、周囲がもっと成長した。

それを「落ちた」とだけ評価すると、子どもとしてはたまったものではない。

80点から90点になったのに、周りが95点になったから、

「最近ダメだな」

と言われる。

90点取って怒られる。

理不尽すぎる。

では、スポ少の序列は何年生で決まるのか。答えは「その大会の序列しか決まらない」だ

ここをはっきりさせておきたい。

小学4年生で決まるわけでもない。

小学5年生で決まるわけでもない。

小学6年生で決まるわけでもない。

6年生の最後の大会でレギュラーだった。

それで決まるのは、

「6年生の最後の大会ではレギュラーだった」

ということだけである。

以上。

中学生になれば体格が変わる。

競技環境も変わる。

練習量も変わる。

指導者も変わる。

ポジションも変わる。

本人のやる気まで変わる。

小学生のころ補欠だった子が中学で伸びても何もおかしくないし、小学生のスターが中学で普通になってもおかしくない。

つまり、「序列はいつ決まりますか?」という質問に対する一番正確な答えは、

その時点の序列は毎週のように存在する。でも将来までの序列が決まる日は、小学生には来ない。

これである。

もし本当に「小学5年生の10月15日をもって今後の序列を確定します」みたいな制度があるなら、全国の6年生はもう練習しなくていい。

体育館を閉めよう。

電気代も浮く。

ただし「序列が決まっていない」と「何もしなくてもいつか逆転する」は全然違う

ここは大事である。

「今は下手でも、そのうち体が成長すれば大丈夫」

これも危ない。

そんな保証はない。

待っているだけで突然ドリブルが上手くなるなら、全国の保護者は練習ではなく子どもを布団に入れて寝かせておけばいい。

「今日は自主練しないの?」

「大丈夫。晩熟だから」

最強の言い訳が完成する。

晩熟は魔法ではない。

今できないなら、何ができないのかを見る。

ボール操作なのか。

判断なのか。

体力なのか。

怖がっているのか。

そもそも練習量が足りないのか。

今できていないことを「将来伸びるタイプだから」で全部処理してはいけない。

逆も同じだ。

低学年で無双しているからといって、「才能があるから大丈夫」で練習しなければ、周囲に追いつかれる。

早く上手くなった子には、追いつかれた後の勝負がある。

遅く上手くなる子には、追いつくまで辞めずに続ける勝負がある。

どちらも結構大変だ。

スポーツの神様は、なかなか全員に面倒くさい宿題を出してくる。

親が見るなら「チームで何番目」より「去年の本人と何が変わったか」のほうがまだ役に立つ

スポ少を見ていると、親はどうしても横を見る。

○○君より点を取った。

○○ちゃんより試合に出た。

あの子がスタメンで、うちは控えだった。

仕方がない。

順位のある世界だから、比較するなというほうが無理である。

ただ、横だけ見ていると成長を見失う。

去年はボールを持つと下を向いていたのに、今は顔が上がる。

以前はミスすると次のプレーまで引きずっていたのに、すぐ守備へ戻れる。

強い相手だと何もしなかったのに、自分から仕掛けるようになった。

こういう変化は、得点表にもスタメン表にも載らない。

でも、この変化が積み重なったあと、ある日突然「あの子、最近うまくない?」と言われる。

だから面白い。

逆に、ずっとチームで一番だった子も同じだ。

「今日も20点取った」で終わらず、その20点が去年と同じ取り方なのかを見る。

去年は体格で押し込んで20点。

今年も体格で押し込んで20点。

数字は同じでも、周囲が成長した瞬間に通用しなくなる可能性がある。

親がスコアラーになりすぎると、子どもの成長を見るはずがExcelを見る人になる。

休日までExcelはつらい。

結局、子どもの序列より先に固定されるのは、大人の頭の中の序列である

スポ少で子どもの序列はいつ決まるのか。

もう一度答える。

小学生では決まらない。

その日の試合のスタメンは決まる。

その大会のレギュラーも決まる。

その時点で誰が一番上手いかも、ある程度は分かる。

でも、それは未来の順位表ではない。

低学年では体格差や経験差が大きく見え、高学年になると周囲が追いつく。逆に、目立たなかった子の身体や技術がかみ合って、一気に存在感を増すこともある。

ところが大人は、一度つけたラベルをなかなか剥がさない。

「あの子はエース」

「あの子は控え」

「あの子は運動神経がいい」

「あの子はセンスがない」

本人たちは毎週変わっているのに、大人だけが去年のデータを使っている。

ソフトウェアなら「最新版に更新してください」と警告が出る状態である。

だから、低学年でわが子がエースでも安心しすぎなくていい。

控えでも絶望しなくていい。

今日の序列は今日の序列だ。

来年は分からない。

中学になればもっと分からない。

高校になればさらに分からない。

それでも保護者は、まだ小学3年生の試合を見ながら、

「この子、将来どうなるんだろう」

と考える。

まあ、それが親である。

ただし、せめて子どもの将来を予想するときくらいは、本人より先に引退を決めないでやってほしい。

あなたのチームではどうですか?

スポ少・少年団・クラブチームで実際にあった出来事や、保護者として感じていることを匿名で教えてください。ClubCoreブログの記事づくりの参考にさせていただく場合があります。

※個人名・チーム名・学校名など、個人や団体を特定できる情報は入力しないでください。

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