スポ少のLINEグループが「地獄化」する3つの原因と平和を保つルール

スポ少のLINEグループが「地獄化」する3つの原因と平和を保つルール

土曜の夜。翌日の試合について、LINEに「明日の集合は7時15分です。出欠と車出し可能な方は今日中にお願いします」と流れる。

既読は増える。返事は増えない。

しばらくすると、いつもの保護者が「私は車出せます」と返信する。続いてもう一人がスタンプを押す。なぜか「了解です」のパンダだけは元気である。肝心の出欠は分からない。

夜が深くなり、担当者が「未回答の方、お願いします」と再送する。すると今度は「明日の朝でも大丈夫ですか?」が来る。いや、明日の朝には車が体育館へ向かって走り出している。

これがスポ少のLINEグループが地獄化する入口である。

原因は、LINEの使い方が下手だからではない。保護者の性格が悪いからでもない。もっと面倒で、もっと現実的な理由がある。

Aは「連絡」と「回答」と「相談」が全部同じ場所に流れ込むこと。Bは、返事をしない人ではなく、返事を待つ人だけに負担が発生すること。Cは、誰でも発言できるのに、誰が決めるのかが決まっていないことだ。

この三つが重なると、便利な連絡アプリだったはずのLINEが、いつの間にか「全員参加型・終わりのない会議室」に変わる。しかも退室すると人間関係まで気になる。かなり性能の悪い会議室である。

原因A 連絡、回答、相談を全部LINEに入れると、必要な情報から先に沈んでいく

スポ少のLINEで最初に起きるのは、情報不足ではない。情報過多である。

「日曜の集合時間は7時15分です」という重要連絡の下に、「ありがとうございます」「承知しました」「よろしくお願いします」「楽しみですね」と続く。さらに誰かが写真を三枚送る。その直後に「〇〇君の水筒、誰か知りませんか?」が入り、夕方には「今日のお菓子ありがとうございました」。

翌朝、集合時間を確認したい保護者はLINEを上へ上へと掘る。もはや連絡確認ではなく発掘調査である。「集合時間どこだっけ」と探しているうちに、なぜか先週の集合写真が出てくる。

LINEは会話には強い。しかし、確定した情報を後から探す用途とは相性が悪い。そこへ出欠、配車、持ち物、当番、集合時間、変更連絡まで全部入れると、重要度に関係なく新しい投稿が一番下へ来る。

しかも困るのは、投稿した側には「送った」という感覚が残ることだ。「昨日LINEしたよね」で話は終わる。しかし受け手からすると、その連絡は86件の会話の中に埋まっている。送った人と受け取る人で、「伝えた」の意味が違うのである。

だから平和を保つ最初のルールは単純だ。

LINEを「知らせる場所」に限定する。

出欠を集める場所、配車を確定する場所、持ち物を確認する場所までLINEにしない。LINEには「更新した」「回答期限はここまで」という通知だけを流し、確定情報は一か所に置く。

「LINE一本で全部済ませたほうが楽じゃないか」と思うかもしれない。最初の三人までは楽である。十五人、二十人と増え、欠席変更、車出し変更、兄弟の予定まで混ざったあたりから、LINE一本は一本釣りではなく地引き網になる。

原因B 既読スルーする人より、既読スルーを回収する人のほうが先に壊れる

LINEの既読スルーが嫌われる理由は、「無視されたから」だけではない。

返信がないことで、別の誰かに仕事が発生するからだ。

出欠が一人分分からなければ、配車の人数が確定しない。車が確定しなければ乗車人数を組めない。組めなければ集合場所も決められない。最後に担当者が個別LINEを送る。

「明日どうされますか?」

ここでようやく「参加します!」と返事が来る。

参加するんかい、となる。

本人からすれば返信を忘れていただけかもしれない。仕事中だったのかもしれない。子どもに確認しようとして、そのまま忘れた可能性もある。悪意まで決めつける必要はない。

ただし運営上は、悪意があるかどうかはあまり関係がない。未回答という状態が残っている間、誰かがその穴を埋め続ける。

さらに厄介なのが、一度きちんと追いかける人が現れると、チーム全体がその人を前提に動き始めることだ。「返信していなくても、必要ならまた連絡が来る」という学習が起きる。

ここでよく出てくるのが「みんな忙しいから、お互い声を掛け合おう」という美しい言葉である。

言っていることは立派だ。立派すぎて額縁に入れて体育館へ飾りたい。

問題は、その「声を掛ける役」が毎回ほぼ同じ人になることだ。

平和を保ちたいなら、未回答者を無限に追いかけない。締切を過ぎたら、原則として未回答のまま扱う。事情があって後から参加したい場合は、本人側から連絡する。

これは冷たいルールではない。返信しない自由と、その返信を誰かが回収する義務をセットにしないためのルールである。

原因C 全員が意見を言えるのに、最後に決める人がいない

LINEが本当に荒れ始めるのは、情報量が増えたときではない。決まった話を後から全員で再審議し始めたときである。

配車担当がようやく表を作り、「こちらでお願いします」と送る。

すると「できれば〇〇さんの車がいいです」「帰りだけ別にできますか」「兄弟を途中で拾いたいです」「その車、荷物多いですよね?」と連絡が来る。

全部もっともらしい。

一つずつ聞けば、それぞれ事情もある。

しかし全部聞いていたら配車表は完成しない。昨日完成したものが今日未完成に戻る。スポ少の配車担当だけ、毎週時空が逆流している。

ここにはかなり変な構造がある。

実際に表を作った人には決定権がないのに、作っていない人には完成後の修正を求める権利がある。

これでは担当者が疲れるのは当然である。

必要なのは「何でも相談しよう」ではなく、どこまでが希望で、どこからが決定なのかを分けることだ。

たとえば「希望は締切まで」「確定後の変更は安全上の事情、急病、家庭事情などやむを得ない場合」「単なる希望変更は本人同士で調整し、成立したら担当者へ知らせる」としておく。

ここで大事なのは、担当者を王様にすることではない。担当者を人間に戻すことである。

完成後まで全員の希望を調整する仕事は、ボランティアの範囲をかなり軽やかに飛び越えている。

平和なLINEグループは、仲が良いのではなく「交渉回数」が少ない

保護者トラブルの話になると、「仲良くすること」が解決策として出てきやすい。

だがスポ少で本当に必要なのは、全員でバーベキューへ行ける関係ではない。同じチームに子どもを通わせていても、仕事、家庭環境、性格、競技への熱量は違う。

仲良しを目標にすると、別の問題まで生まれる。「あの人は付き合いが悪い」「懇親会に来ない」「グループLINEで反応が薄い」。スポーツをやりに来たはずなのに、いつの間にか保護者の社交性まで選考対象になる。

平和なチームは、全員が仲良しなのではない。

連絡で揉める回数が少ないのである。

そのためには、①確定情報を一か所に置く、②回答期限を過ぎた人を担当者が追い続けない、③確定後の変更条件を決める、④個人的な相談を全体LINEへ投げない、⑤「了解しました」だけで全員が返信する文化を作らない。この五つでかなり違う。

特に最後は地味だが効く。

30人が「了解です」と返信したところで、情報は一ミリも増えていない。30匹の動物スタンプが集合するだけである。かわいい。だが集合時間は見えなくなる。

グループLINEを増やせば整理される、という第二の罠もある

一つのLINEが混雑すると、今度はグループを分けたくなる。

全体LINE、学年LINE、配車LINE、役員LINE、大会LINE、卒団LINE。さらに期間限定のイベントLINEが生まれる。

最初は整理されたように見える。

ところが増えすぎると、今度は「どのLINEで話していたか」が分からなくなる。

「あれ、配車LINEじゃなかった?」

「大会LINEだった気がする」

「私は学年LINEで見た」

誰も嘘をついていないのに、全員違う場所を見ている。

我が家でも、スポ少関連のLINEグループが20を超えた時期があった。スマホを開けば同じ競技のアイコンがずらりと並び、一瞬「自分は何チーム所属しているのか」と思うほどだった。

グループを増やすことは整理ではない。連絡経路を増やしているだけの場合がある。

ClubCoreを作った理由の一つもここにある。LINEをやめたいわけではない。LINEは通知には便利だ。ただ、出欠や配車や予定まで会話の中へ埋め込むと、最終的に一人の保護者の頭の中だけが「最新版」になる。

その人が一週間いなくなった瞬間に運営が止まるなら、それは便利なLINE運営ではなく、人間一人を検索機能として使っていただけである。

結局、LINE地獄を止めるのは「もっと返信しよう」ではない

スポ少のLINEグループが地獄化する原因を並べると、Aは情報を一か所の会話に詰め込みすぎること、Bは未回答の後始末を同じ人が背負うこと、Cは全員が意見を言えるのに決定権の場所が曖昧なことである。

だから結論も、「保護者同士でもっとコミュニケーションを取ろう」にはならない。

むしろ逆だ。

必要のないコミュニケーションを減らしたほうがいい。

確定情報は探さなくても見つかる。締切後は担当者が追いかけない。決まったものを変更するときは変更する側が動く。全体LINEは全員に必要な話だけにする。

それでも、試合後に写真が送られたり、「今日はありがとうございました」と一言流れたりするLINEまで消す必要はない。そういうやり取りまでルールで殺したら、それはそれでスポ少ではなく役所の電子申請みたいになる。

消したいのは雑談ではない。

誰か一人が黙って尻拭いしないと成立しない運営である。

次にLINEで「未回答の方、お願いします」と二度目の催促が流れたら、返信していない人だけを見るのではなく、その文章を打っている人を見たほうがいい。

その人はたぶん、同じ文章を打つのが今週初めてではない。

あなたのチームではどうですか?

スポ少・少年団・クラブチームで実際にあった出来事や、保護者として感じていることを匿名で教えてください。ClubCoreブログの記事づくりの参考にさせていただく場合があります。

※個人名・チーム名・学校名など、個人や団体を特定できる情報は入力しないでください。

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